社会保障制度のあり方を検討している社会保障審議会は6月中にまとめる報告書案として、今後負担急増が見込まれる若年世代の不満に対応するため、高齢者給付を抑制する一方で子育て助成などを強化する考えを打ち出しました。
今回の報告書案のポイントは下記のとおりです。
・「高齢」関係給付の伸びをある程度抑制し、次世代育成支援を推進する
・社会保障財源は、保険料を中心に公費負担、利用者負担を適切に組み合わせる
・現在凍結中の厚生年金、国民年金の保険料引き上げを早期に解除
・基礎年金の国庫負担割合の1/2への引き上げは安定した財源の確保と一体で検討する
・所得や資産を有する高齢者には応分の負担を求めていく
・財源規律の考え方である「潜在的国民負担率」を社会保障と過度に関連づけるべきではない
また政府がまとめた「高齢社会白書」では高齢者を65歳から74歳までの「前期高齢者」と75歳以上の「後期高齢者」に分けて分析し、前期高齢者は2015年にピークに達した後、減少に転じるが、後期高齢者は増加を続け2020年には前期高齢者を上回ると指摘しています。2000年度の社会保障費は78兆1,272億円、内高齢者関係給付金は53兆1,982円で全体の68.1%に達しています。 |
今年4月から厚生年金保険について「総報酬制」が実施されました。
すでにご存知のとおり、総報酬制は、毎月の給料(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)に同じ保険料率を用いて算出した保険料を負担する、というものですが、総報酬制導入により変わったのは、保険料のしくみだけではありません。
導入前は、賞与にかかる保険料(特別保険料)は年金額には反映されませんでしたが、導入後は年金額に反映されるようになりました。
したがって、年収に占める賞与の割合が比較的高いために従来よりも保険料負担が大きくなった人は、それに応じて年金額が増えることになります。
総報酬制導入後の老齢年金(報酬比例部分)の計算方法 |
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= |
1.総報酬制導入前
平成15年3月以前の被保険者期間にかかる年金額 |
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+ |
2.総報酬制導入後
平成15年4月以降の被保険者期間にかかる年金額 |
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年間賞与額 |
1,800,000円 |
1,296,000円 |
600,000円 |
保険料(年額) |
H15.3月まで |
H15.4月から |
H15.3月まで |
H15.4月から |
H15.3月まで |
H15.4月から |
383,760円 |
415,548円 |
381,240円 |
381,326円 |
377,760円 |
334,068円 |
保険料増減額 |
+31,788円 |
+86円 |
−43,692円 |
年金額
(加給年金を除く) |
従来制度 |
新制度 |
従来制度 |
新制度 |
従来制度 |
新制度 |
1,077,300円 |
1,132,600円 |
1,077,300円 |
1,077,300円 |
1,077,300円 |
1,001,000円 |
年金増減額 |
+55,300円 |
増減なし |
−76,300円 |
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昭和38年7月生まれの人が厚生年金保険に平成15年3月まで15年間、平成15年4月から20年間加入した場合 |
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計算簡便化のため、標準報酬月額は全期間を36万円、再評価率、物価スライド等は考慮しない |
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保険料は本人負担分 |
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賞与は年2回支給 |
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