各種保険や制度年金の併給と支給停止・児童手当
年金の併給と支給停止・児童手当
【公的年金制度間の併給調整と支給停止】
2つ以上の年金の受給権ができても、1人1年金が原則で、どちらか一方を選択する
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同一の支給事由による基礎年金と上乗せの被用者年金(厚生年金、共済年金)は併給される
違う支給事由による基礎年金(老齢と障害、障害と遺族、老齢と遺族)が受けられるようになったとき、あるいは違う支給事由による厚生年金(老齢と障害、障害と遺族、老齢と遺族)が受けられるようになったときは一方を受けて他方は支給停止となる
昭和16年4月1日以前生まれの人が、老齢基礎年金の繰上げ支給を受けると特別支給の老齢厚生年金は全額支給停止 同年4月2日以後生まれの人は繰上げ老齢基礎年金(減額)と報酬比例相当の老齢厚生年金は併給(老齢年金繰上げ受給 参照)

【遺族給付と老齢給付の併給選択肢】
遺族厚生年金の受給権者が自己の被保険者期間によって老齢厚生年金の受給権が得られたときは65歳以後、老齢基礎年金に合わせ、1.老齢厚生年金をとるか、2.配偶者の遺族厚生年金をとるか、3.老齢厚生年金の2分の1と遺族厚生年金の3分の2をとるか、3つの選択肢がある
 
自分の老齢厚生年金より配偶者の老齢厚生年金の4分の3の方が高ければ1.より2.が高額、老齢厚生年金が配偶者の老齢厚生年金より低いが2分の1より高ければ2.より3.が高額
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児 童 手 当

費用の負担
国−20%、都道府県−5%、市町村−5%、事業主−70%の割合で負担(但し3歳以上就学前の児童に係わる費用は、国(4/6)・都道府県(1/6)・市町村(1/6)で負担)

事業主の拠出金(育児休業期間中は免除)
  事業所の厚生年金保険被保険者の標準報酬の総額に1000分の1.1(平成13年度)の拠出金率を乗じた額となり、厚生年金保険の保険料と同時に毎月社会保険事務所等へ納付する
支給額
 未就学児(6歳の年度末まで)を養育している父母などが、第1子と第2子の児童についてそれぞれ月額5,000円、第3子以降1人月額10,000円を市区町村に認定請求した月の翌月から受けられる
取扱機関
 拠出金の徴収事務は社会保険事務所等、資格の認定と支給事務は市区町村役場となる

【老齢給付と失業給付の併給調整】
平成10年4月1日から、失業給付(雇用保険の基本手当又は船員保険の失業保険金)と老齢給付(65歳未満の人に支給される老齢厚生年金又は退職共済年金)を合わせて受けられるようになったときは、失業給付が優先し老齢給付の支給が停止される また高年齢雇用継続給付(雇用保険や船員保険の高年齢雇用継続基本給付金・高年齢再就職給付金等)を受けている在職者が、同時に65歳未満で老齢厚生年金又は退職共済年金を受けられるときは、在職老齢年金のしくみによる支給停止を行ったうえ、さらに標準報酬月額の1割の範囲内で年金額が支給停止される
これら老齢給付と失業給付等の併給調整は、平成10年4月1日以後に老齢厚生年金または退職共済年金の受給権が発生した人(昭和13年4月2日以後生まれの人など)を対象としている
基本手当と老齢厚生年金の調整方法
 基本手当が受けられる間(最長180日、倒産・解雇等による離職は最長240日)老齢厚生年金は支給停止される この場合の支給停止期間とは、公共職業安定所(ハローワーク)に求職の申し込みをした月の翌月から、その申し込みによる基本手当の受給期間(または所定給付日数)が満了した日の属する月までの間となる(調整対象期間)
  ただし年金は月単位、基本手当は日単位であることから、基本手当の受給期間(または所定給付日数)が満了時に、支給停止解除月数〔年金停止月数−(基本手当の支給対象日数÷30)〕が1以上のときは、その月数分について年金停止が解除され、直近月より遡って年金が受けられるなど事後精算が行われる
在職老齢年金と雇用継続給付の調整方法
 65歳未満で在職老齢年金を受けている人が雇用保険の高年齢雇用継続給付等も受けるときは、在職老齢年金のしくみによる支給停止に加えて、さらに標準報酬月額の1割から徐々に減らした額を支給停止する調整方法がとられている
 具体的な支給停止年額は、1.標準報酬月額が60歳到達時賃金日額×30の64%未満のときは標準報酬月額×10%×12 2.同じく64%以上85%未満のときは標準報酬月額×下表停止率×12 3.標準報酬月額と雇用継続給付の合計が高年齢雇用継続給付の支給限度額(38万9,115円・平成13年8月改定)を超えるときは、〔支給限度額−標準報酬月額〕×10/25×12 などとなっている
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◆標準報酬月額の60歳到達時みなし賃金月額に対する割合(賃金割合)に応じた支給停止率(早見表)
賃金割合 支給停止率   賃金割合 支給停止率   賃金割合 支給停止率   賃金割合 支給停止率
85.00以上 0.00   79.50 2.11   74.00 4.53   68.50    7.34
84.50   0.18   79.00 2.32   73.50 4.77   68.00    7.62
84.00   0.36   78.50 2.52   73.00 5.01   67.50    7.90
83.50   0.55   78.00 2.74   72.50 5.25   67.00    8.19
83.00   0.73   77.50 2.95   72.00 5.50   66.50    8.48
82.50   0.92   77.00 3.17   71.50 5.75   66.00    8.77
82.00   1.11   76.50 3.39   71.00 6.01   65.50    9.07
81.50   1.31   76.00 3.61   70.50 6.27   65.00    9.38
81.00   1.50   75.50 3.83   70.00 6.53   64.50    9.69
80.50   1.70   75.00 4.06   69.50 6.80    64.00以下 10.00
80.00   1.90   74.50 4.30   69.00 7.07    
(注) 単位:%。表示上小数点以下2ケタ未満を四捨五入。
  厚生年金基金加入員の併給調整の取扱いは、各基金の規約による。
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